5-11-6, Benten, Osaka Shi Minato Ku,
T. 06-6572-5335 (9:00AM—6:00PM)

2階建長屋が、眺めのいいレトロモダン空間に

おもしろ賃貸物件、つくります リノベーションの魅力

大阪府の南河内に位置する松原市。ハニカムラボは、この地に立つ築50年の長屋の1区画を購入してリノベーションをほどこし、2023年から賃貸に出しています。建物のクセを生かしつつ、遊び心や実験精神をあちこちに埋め込んだ空間で、今は猫2匹と人間1人が仲良く居住中。ゆったりした時間が流れる住まい、覗いてみましょう。

目次

INDEX

東西に光と風が抜ける物件に、ポテンシャルを感じて

ハニカムラボが、松原市で長屋リノベを手がけるのはここで2軒目。リノベをしてみて感じるのは、松原という土地は元々腕のいい大工さんが多かったらしいということです。古くても建物の傾きが少ないのがその証拠(地盤の強さももちろんあるかもしれませんが)。リノベをほどこす前の土台がしっかりしているというのは大きな利点です。さらにこの長屋は、東西に採光部が開けていて、光と風の抜けがよいのも購入の決め手となりました。

2階の6畳と4畳半はつなげてワンルームに変えます

隣からニョキッと飛び出した補強梁、さあどうしよう

まずはいつものごとく、2階天井を抜いてみました。すると三角勾配の端に、なぜかニョキッと隣から補強梁が侵出しているではありませんか。おそらく昔、隣の屋根が壊れた時に、こちら側の柱も支えにしながら大工さんが修理をしたのでしょう。想定外のことではありましたが、これもこの長屋の歴史ということで、このまま触らずに残すことにし、ここのゾーンだけ合板で覆って隠すデザインに路線変更しました。

お隣の補強梁が屋根裏に侵出していました
そこでこのゾーンだけ板で覆うデザインに変更!
天井と壁にはしっかり断熱も施し、遮音性もアップ

田んぼや水路、桜など、四季折々の眺めを借景に

ところで、この物件の内覧に初めて訪れたのは2022年春。ちょうど東側の2階ベランダから見える田んぼや水路の脇で、桜が咲く頃でした。こんなのどかな眺めを楽しめる暮らしって、いいなあ。そんな空想から生まれたアイデアもたくさんあります。

外の借景をできるだけ遮らないようにしたい!というわけで、模様入りのすりガラスは透明ガラスに変え、ベランダのトタン屋根を支える梁の幕板も取り去ることに。さらに2階の畳を撤去してフローリングにすることで床高を少し低くしました。ほんのちょっとした違いですが、これも室内からの視野を広くする効果があるのです。

視界を遮っていた幕板を取り去り、借景をきれいに四角く切り取れるように
窓の外に緑が見えるって、気持ちいい
猫たちもごきげんです

玄関を入ってくるお客さまと、目があうキッチン

お施主さまの希望を叶えるリノベと違って、自社がオーナーである賃貸物件のリノベは、素材や施工法にさまざまな実験が盛り込めるのが面白いところ。この物件にも、ハニカムラボの「これ、面白いんちゃう?」とか「いっぺんやってみたい!」があちこちに詰まっています。

たとえばここのキッチンは元々、窓側の壁に沿ったI型でしたが、あえて向きを変えることに。玄関を入ると、脇の小窓からキッチンの気配が感じられます。さらに特注のキッチン台はカウンタートップがステンレスで、側面が真鍮。経年変化でだんだん黒ずんでいくのもカッコいいんじゃないか?と予想しています。そして壁には、おなじみメトロタイルの中でも小ぶりなものをチョイスし、縦向きに貼るという変化球を投げています。

元のキッチンは、よくある壁に沿ったI型
完成後はこちら!カウンター下には木箱を置いて可動式収納に
経年変化が楽しみな真鍮のキッチン台

浮遊感と開放感のある押入れ、使い方は自在!

もうひとつ、ここの物件でこだわったのは押入れの生かし方。下部が抜けて、まるで宙に浮いたように設置されているため、階段を通して2階からの採光を1階にも回すことができます。またあえて横板もなくしてシンプルな箱のようなつくりにしています。これにより、収納に使うことももちろんできるのですが、ベンチのように腰掛けてもいいし、身長の低い女性ならここに布団を敷いてベッドのように使うこともできる、という多目的スペースに。「押入れであって押入れじゃない」という不思議空間ができあがりました。

そして押入れ上部に露出しているのは、元々ここにあった「竹小舞(たけこまい)」。竹を格子状に組んで作る土壁の芯で、古い日本家屋ではおなじみの技法です。こんなふうに、かつてここに関わった職人さんたちの手仕事の跡を残すのが、ハニカムラボは大好きなんです。

押入れの下が空いており、階段を通して2階からの光が1階に降り注ぎます
押入れ上部に、あえて「竹小舞」を露出させて

自社物件だからできる遊びや実験を、これからの仕事の糧に

こちらのリノベ長屋、実は改装工事完了後しばらくしてから、借主さんより当社に直接問い合わせがあり、賃貸契約につながりました(SNSで当社のことを知ってくださったとのこと)。入居にあたっては借主さんより、2階を2ゾーンに区切りたいとのことと、押入れを目隠ししたいとのご希望を伺って、新たにカーテンレールの設置も行いました。
自社物件だからこそできる実験と遊びを詰め込んだリノベ長屋。ハニカムラボではこんな施工経験も、これからの仕事の糧として生かしていきたいと思っています。

Scroll